Visual notes : Barbara Hepworth | バーバラ・ヘップワース
The complete sculpture of Barbara Hepworth 1960-69 by Alan Bowness (1971) p.80-81
バーバラ・ヘップワースの作品を眺めていると、形そのものだけでなく、その周りにある空間にも意識が向かう。
彫刻に開けられた穴は、光や影、風景を取り込みながら、内側と外側を静かにつないでいるように見える。作品は周囲の環境と響き合い、見る角度や光によって、その表情をゆるやかに変えていく。
イギリスの現代彫刻家バーバラ・ヘップワースは、1903年にウェスト・ヨークシャー州で生まれ、モダニズム彫刻の先駆者として知られている。
ヘップワースの作品は、自然の情景を人間のフォルムのように造形しており、そこにロマンチックな魅力を感じる。大理石、木材、ブロンズと異なる素材を巧みに扱い、ときには6メートルもの大きな彫刻作品を制作した。その抽象彫刻にみられる優美な曲線、滑らかなリズムで描かれるボリュームとフォルムは、まるで視覚化された美しい音楽のように感じられる。



Scottish National Gallery of Modern Art
彼女の作品にたびたび見られる貫通した穴は、作品に透き通りを与えるだけでなく、周囲との調和を表現する大切な要素でもある。穴の向こうに広がる景色や光までが作品の一部となり、形だけでは生まれない豊かな広がりを感じさせる。
St Ivesの海辺で暮らしたヘップワースは、海岸沿いの石に触れ、そこにある形や質感を感じ取る時間を大切にしていたという。海の光景や自然の変化に触れることは、彼女の造形への感覚と深く結びついていた。
実際に彼女の彫刻を前にすると、写真では見ることのできなかった立体としての存在感に気づく。正面から見える輪郭だけではなく、裏側へと続く形の流れや、途切れることなく移り変わる曲線。その姿は、まるで波が静かに流れていくように感じられた。
表面に残る削りの跡や、石や木が持つ艶やざらつきからは、素材と向き合った時間が伝わってくる。身体の動き、素材の抵抗、刻まれるリズム、そして周囲の空間。それらが重なり合うことで、彫刻は静かな生命感を持って存在しているように感じる。
そんな彼女の作品が収められた『Barbara Hepworth 1960–69』(1971)は、何度も手に取る一冊だ。
ページをめくるたびに、形だけではなく、その間にあるものについて考える。
身につけるものが、何かを語るためだけではなく、その人自身の佇まいを映し出す存在であれたらと思う。
Two forms pieced1961-2. p.45

Barbara Hepworth in the Palais de la Danse studio, Hollow Form with White Interior, 1963
*Trewynとは、ヘップワースが1939年8月25日に移り住んだイギリスのSt Ivesにあるアトリエの名前に由来しています。




