Kettle's Yard

すべてのものが同時に並存し、成熟していく空間がある。
お皿に置かれた一つのレモン。視線を上げた先に、ミロが描いた黄色い点が、それと響きあう。
ひとつのものの周りに、まだ見えていなかったものが現れてくる。
ケトルズヤードの家は、いつかの小石も、ブランクーシの彫刻も、ルーシー・リーの器も、一連の空気の中で佇む。
ここにお座りくださいと、部屋の随所に置かれた椅子が、ゲストをもてなす。
窓辺の椅子に腰掛けると、目が合った絵画との対話が始まる。その色彩に編まれた情景が、静かにこの家を語る。
窓の下でしゃがむように掛けられた、海辺のボートの絵をしばらく眺めていた。その前にある円卓には、海岸で拾ってきたのだろうか、まあるい小石が渦を描きながら並べられている。低い姿勢で見つめる先に見えてくる新しい光景に、眼が踊り、心地への想像の境が広がり出す。
ここに迎えられた作品や自然物が、それぞれ在りたいようにありながら、出会い、重なり合い、同じ光に照らされている。どこまでも拡がる風景をひとつの部屋に持ちこんでいた。


Kettle's Yard, Cambridge


