ルーシー・リーの器

ルーシー・リーの器に、深く目が吸い込まれていく。
手の感触に従い、フォルムがあらわれ、
その薄い側面には緊張感を宿す。
膨らみは呼吸のように、
掻き出した線の流れは生命のように、
白の透明度が、内側と外側をつなぐ。
風通しの良い佇まい。
フォルムは呼吸、
にじみは時間の重なり。
手の跡はろくろの息と同化している。
大地が肥やした土にルーシーが手を加えると、
そこには気品さえ満ちる。
偶然から生まれた穴やにじみも隠すことなく
そのままの姿として模様にしていく。
線の細さ、揺らぎ、そこへのプレゼンス。
無数の線は、一本たりとも無駄のない反復。
この線を眺めていたとき、
アグネス・マーティンの絵画が脳裏をかすめた。
線と色の連なりが、私の呼吸と同期する。
体から生まれたものは美しい、
伸びやかでどこまでも広がっていく器。
私もそのような器を自分の内側に静かに抱えておきたいと思う。


ルーシー・リー展
東京都庭園美術館


